クアオルトの芽vol.10 10年間の取組に対する高い評価 さらに魅力あるまちへ(ドイツ・クアオルト訪問記(2))
上山市が行う健康ウォーキングの手法「気候性地形療法」の発案者で、ドイツ国内でも4人しかいないクアオルトの鑑定ができる一人でもあるアンゲラ・シュー教授(ミュンヒェン大学)から、本市の取組に高い評価とメッセージをいただいたので、紹介したい。
アンゲラ・シュー教授からメッセージ
上山市で約10年間、気候性地形療法およびクアオルト事業が実施され広がっていることについて
10年前はゼロからのスタートであり、途中、東日本大震災など大変な時期もあっただろうが、そのような大変な中、諦めず取り組んできた成果であり、とても素晴らしい
これから50年100年先を見据えたクアオルトを創 るために必要なことやすべきこと、アドバイス
ドイツでは近年、森林療法が注目されてきており、 森林の活用は可能性を感じる。森の中でのウォー キングやヨガ、また音楽をはじめとした文化も含めて総合的にやっていくべき
自治体内の医師、気候療法士との連携が重要。ま た、気候性地形療法やクナイプ療法(例えば一部 としての水療法など)をコンパクトに組み合わせ、住民や来訪者にとって気持ちの良い、心に残るものを提供していけば良い。また、身体的なものだけでなく、そこに着いたら“自分に帰れる”ような、心の面でも癒されるまちになれば良い
上山市民へのメッセージ
これまでの活動の積み重ねで今はしっかり軌道に乗り、「健康」というキーワードを大切に今後の目的に向かってさらに前進することを期待している。また、自分が考え出した手法を基に、上山市で多くのみなさんが協調してまちの将来像を描いていることを誇りに思う
人生を豊かにする多様な過ごし方で、“心と体がうるおう”まちを実現
ドイツ国内では、◇クアオルト専門医がいる◇気候・景観が良い・騒音が少ない◇四つの自然の治療要素「土壌(温泉)・海・気候・クナイプ式」による療養のプログラムがあり、医療機関や提供施設がある-などの様々な厳しい認定基準を満たした自治体を、国(州)が上記四つの治療要素に応じて、クアオルトとして認定している。2009年現在で366か所とされ、この認定を受けるためには、自治体の大きな努力が必要であり、何年もかけて取得しているのだという。
ドイツのクアオルトには、テルメ(温泉施設)やクアパーク(保養公園)、クアハウス(保養公会堂)が複合的に整備されており、住民や来訪者が交流を楽しみながら健康づくりに親しんだり、ゆったりとした時間を過ごしている。特に野外音楽堂では、様々な音楽愛好家がミニコンサートを行っており、心地よい音色に誘われるように人々が自然と集い、うっとり聴き入ったり時にダンスを楽しんだりする姿は印象深く、本市の“やまがたワインバルinかみのやま温泉”“上山音楽祭ル・シャトーかみのやま”はまさに方向性が合致していると感じた。
クアオルトでの過ごし方は、健康ウォーキングのみならず、例えばヨガ、サイクリング、読書、音楽鑑賞、ワインをはじめとした食の楽しみなど、人生を豊かに過ごす多様性が大切である。本市には様々なツールがあることから、市民や来訪者にとって“心と体がうるおう”“楽しみながら健康の大切さに気付く”体験という様々な過ごし方を提供することで、さらに魅力ある『クアオルト(健康保養地)上山』が実現できると確信している。 (クアオルト推進室 室長・佐々木慶)