あの人の若返る生活を拝見 冨士重人上山市温泉クアオルト協議会会長
体調を崩して気づいた、「健康」の大切さ
「健康」を意識するようになったキッカケを教えてください
旅館の経営、まちのこと…頭を悩ませることもあったが、体は元気で毎日夢中になって仕事をしていた。当時、全国旅館生活衛生同業組合連合会の全国大会が上山で開催されることとなり、肉体的にも無理が重なったんでしょう、その矢先倒れ、初めて体が病に侵される経験をしました。病気をしてからは坂道を3メートル歩くのもやっと。こんなにも体力が落ちるものかと愕然としました。その頃、他の旅館の社長も次々と体を壊し始め、「健康こそ宝」と考えるようになりました。
朝6時50分からのウォーキング。裏山を歩くことになった経緯を教えてください
当時、桜の植樹など裏山(葉山)の整備をしており、桜の管理をしながら旅館の仲間で歩くことにしました。最初は、いかに早く登って帰ってくることができるか競い合っていました。その結果体力はつき、体が元気になっているという実感はありました。
その同じ時期に、横戸市長が健康でまちおこしをしよう!とクアオルト事業がスタートしました。
継続は自分とまちに変化をもたらした
歩き続けてきて、何か地域に変化を感じることはありますか
最初は30人くらいの人が、一緒になって歩いていましたが、今では毎日10人前後。一緒に歩く仲間は減りましたが、自分の時間を見つけ葉山を歩く人の姿を多く見かけるようになりました。葉山だけでなく西山や各地区のクアの道まで。地域や団体、葉山神社、個人の協力もありコースがどんどん整備され、みなさんに愛される道へと変わりました。
歩いて変化はありますか
毎朝歩くようになってから、体重は70kg、体脂肪も22%まで下がり、筋肉量は59kg、代謝も1630~40と断然良くなりました。コレステロール値や体脂肪率は下がりました。
歩くときに心がけていることはありますか
クアオルト健康ウォーキングは「無理をしない」がモットーですが、下りの時はドローイン(お腹を凹ませる)をしたり、ひざを柔らかくして歩いたり、どの動作にもレジスタンス運動(筋力トレーニング)を取り入れるように心がけています。
ただ歩くだけでなく、いろんな運動を取り入れながら歩いてますね
この早朝ウォーキングには、これまでにいろんな分野の専門家のみなさんが参加し、たくさんの運動方法を教えてくれました。それらを活かしながら日々歩いています。
頑張らないで生まれた、仲間の輪
先頭になって歩く朝のウォーキングで心がけていることは?
みんなと仲良く歩くことが大事です。この早朝ウォーキングのモットーは「楽しく」です。これには市民だけでなく観光客のみなさんも参加します。初めて参加する人でも、楽しく歩くことができる。楽しさを作るには「頑張らないこと」。1~10まで規則に沿って歩いていては、新たな人の入る余地が生まれません。頑張らないことで新たな人が気軽に参加できる隙が生まれます。「いい加減」が「好い加減」になるんです。
「仲間」と歩くことの良さってなんですか?
「仲間」になるということは、同じ思いを持っている人が集まるということ。歩きたい、健康になりたい、同じ目的を持った人だからこそ、すぐに打ち解けることができます。
また、「仲間」の後ろにも「仲間」はいます。ひとりの仲間がインフルエンスとなることで、友達や家族、そして地域へと良さが波及し、健康保養地のまちへと近づくはずです。
「クアオルト健康ウォーキング」を実践していいなと思うところは。
とにかく頑張らないのが一番。三日坊主で終わるよりも、三日坊主を続けることが良いんです。無理をしないで継続・持続できることが大事。体重の変化を楽しみにするのもいいですね。
ウォーキングが欠かせないものになっていますね
人が来るから歩く、誰かのために歩くといった義務で取り組んでいるうちは正直楽しくありません。ある日、このウォーキングは自分のためにやっていると思うようになってから変わりました。歩かないとなんとなく気分が良くないくらい、生活習慣の一部になっています。
「健康」だからこそ楽しむことができる今
働き世代の「健康づくり」大切さを教えてください
50代を過ぎてからは健康寿命を延ばすことが大事。我々が高齢となり、病気で倒れたり、介護されて生活するようになれば、若い世代の活躍の場を奪うことになります。健康であるからこそ、趣味を楽しんだり人生をエンジョイできます。退職してからではなく、現役時代の今から食生活や生活習慣の見直すことが自分のためにも、社会のためにもなると思います。
今年68歳。これからやりたいこと教えてください
これからの目標は、健康寿命を長くし、メンタルも含めて元気でいること。
「将来の夢」とか「やってみたいこと」をよく聞かれますが、健康な体で、毎日楽しく生きることができればいいと思います。釈迦の「今、此処」という言葉にあるように、今、目の前で起きていることはいろんな縁や偶然が重なり起きる事象です。一瞬一瞬が未来です。そこを楽むことができればいいんです。
近江商人の三方よしの考え方とこれからの10年
観光物産協会副会長や温泉組合長、そして、クアオルト協議会長と、様々な役職を経験をしてきた冨士さんが思う、上山の未来がどんなまちになることがいいですか。
老若男女関係なく、このまちが好きだと言える、まちになるといいですね。今はクアオルト事業ということで「健康」のまちを目指し取り組んでいます。歳を重ねても健康で生活ができ、若者もいきいきと仕事ができるまち。それぞれが補完し合いながら元気なまちにしていきたいと思います。若者がこのまちでかっこいいお年寄りになりたいと思えるよう、我々も健康を大事にし、手本とならなくてはなりませんね。
また、まちの発展には近江商人の「三方よし」の考え方が大事だと思います。「買い手よし、売り手よし、世間よし」といわれ、自分の事よりもお客の事を考え、みんなの事を大切にして商売をすべき、という近江商人の活動の理念を表わすものです。どこかが欠けては、人は離れていきます。地域全体を良くしたいという気持ちが、これからは必要になると思います。
本日はありがとうございました。