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【クアオルトの芽vol.9】今後ますます注目が高まる「気候性地形療法」、そのルーツを学ぶ(ドイツ・クアオルト訪問記(1))

印刷用ページを表示する 掲載日:2017年9月1日更新

クアオルトの芽タイトル

 7月13日~22日、ドイツで「気候療法士集中講座、クナイプ式や温泉のクアオルト(健康保養地)視察研修」が開催され、全国から15人(うち上山市からは6人)が参加。私も本場のクアオルトを体感してきたので、その様子を3回に分けてお伝えしたいと思う。

32の認定コースを活用し、治療や予防、療養のプログラムとして実施

 まず向かったのが、「ガーミッシュ・パーテンキルヒェン(以下、ガパ市)」。ミュンヒェンから南に126km、オーストリアとの国境に近い、人口約2万7千人のまちであり、国(州)から気候のクアオルトに認定されている。ガパ市は、国内外から登山やスキーなどのレジャーをはじめとした観光目的で多くの人々が訪れる地であり、年間宿泊件数100万泊以上、来訪目的の一つが治療・療養としてのクアオルト体験プログラムの利用となっている。ドイツでは、クアオルトでの治療や滞在にかかる経費に公的医療保険が適用されるなど、医療制度で日本との大きな違いがある。
 ガパ市内には、気候性地形療法の認定コースが32ある。ここでは、心臓病のリハビリや高血圧の治療等に有効な運動療法として、「気候性地形療法」によるウォーキングが行われている。これは、自分の体力に合った運動の強さ(歩行スピードで調整)で、また体表面を冷たく保持しながら歩くことで運動効果を高めるもので、本市でも医科学的根拠に基づくウォーキングとして取り入れている。ここでは主に来訪する患者などが、クアオルト専門医師が出す処方箋に基づき、ガイドなどを担う気候療法士の指導の下、治療や予防のほか、療養の一つのメニューとして実施している。
 またガパ市は、「気候性地形療法」の発案者、そして上山市内8コースの鑑定を行い認定したミュンヒェン大学/アンゲラ・シュー教授の活動拠点でもある。
 コースは道幅も広くきれいに整備され、途中には、小休止できる木製ベンチが数多く配置されたり案内誘導看板のデザインなども統一されたりしている。また、ドイツ国内最高峰ツークシュピッツェをはじめ見晴らしの良い場所が点在し、レストランもあり、来訪者がゆったり食事やビールを味わいながら談笑する姿、場所によってはサイクリングやジョギングを楽しむ人の姿も見られた。

コース整備とガイド育成をセットに、楽しみながら実践できる健康づくりの場を提供

ドイツ国内最高峰ツークシュピッツェをバックに 「気候性地形療法」のルーツに実際に触れ、本市はその手法を忠実に実践しているほか、上山市内のコースは、道幅が狭かったり認定コース数に限りがあったりという課題はあるものの、安全性を重視しつつ、上山ならではの様々な要素をうまく組み合わせた魅力あるコースになっていると感じた。また、本運動療法は現在、ドイツ国内約360すべてのクアオルトで提供されるプログラムとなっており、より取り組みやすい手法として、今後さらに広がりを見せる可能性がある。
 本市においても、引き続き「気候性地形療法」を基本にしながらも、太陽光や水治療の活用など各種療法をコンパクトに組み合わせることがポイントである。また、ドイツの気候療法士は、運動習慣のない人たちに「いかに体を動かしてもらうか」を常に意識しているほか、コーディネート的な役割まで担っている点は大いに参考になる。本市の専任ガイドについても、多様性を持った人材の養成・育成に努めながら、住む人や訪れる人にとって、さらにバリエーション豊かで楽しみながら実践できる健康づくりの場を提供していきたいと感じた。

(クアオルト推進室 室長・佐々木慶)

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